大人のハッピーセット vol.9 〜富士そば「カレーかつ丼」の存在意義について〜

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赤坂「小鉄屋」の「新串6本盛り合わせ」と「ホッピーセット」 / 今週の「大人のハッピーセット」

　夜の赤坂で小一時間ほどの空きができ、次の用事まで軽く一杯やってつないでおきたかった。しかし、あまりなじみのない大人の街、赤坂で気軽に入れる店など、僕は「サイゼリヤ」くらいしか知らない。あとは唯一「梓川」というものすごく好きな酒場もあるけれど（過去に梓川を取材させてもらった記事）、あそこはサービス精神がすごすぎて、行くならきちんと腰をすえて飲みたい店だしなぁ。

　などと考えながら駅前の通りを歩いていたら、一軒の酒場に目が止まった。

　理由は単純明快で、入り口横にある「半額」と書かれた立て看板を、目ざとく見つけたから。なにが半額なのかしら？　と、近づいていって確認する。

　するとこれが想像以上！　なんと、「新串6本盛り合わせ」なる、焼鳥3本とやきとん3本のセットが、通常880円のところ、お試し価格で440円と書いてある。新串というくらいだから、最近新しく加わった部位か、それともなんらかのリニューアルがなされたのか。とにかくお得すぎることに間違いはない。さっそく入店だ！

　カウンター席に着き、さっそくメニューを眺めると、全体的に、とても赤坂の一等地にある店とは思えないほどリーズナブル。ホッピーセットは539円で、ナカは275円。お通しがさらりと2皿あるのも良くて、ひとつはマヨネーズとみそが添えられた生キャベツ。もうひとつは、ひき肉、しいたけ、しらたきなどなどの煮物で、ほっこりといい味だ。

　もちろんサービスの串盛りは頼むとして、日替わりメニューにも絶妙に酒飲み心をくすぐられる品々が並ぶ。僕はそこから、「枝豆山椒漬け」を頼んでみることに。

　枝豆は、単なる塩ゆでではなく、浅漬け風の味わいで、合わせて実山椒も漬けているのか、爽やかな香りと、しびれ感のアクセントがたまらない。何気ない仕事のひとつひとつがていねいな店。この値段にして、量がケチケチしてないのもありがたい。

　そしてお待ちかねの串が焼きあがる。左から、やきとんのカシラ、ばら、タン、焼鳥の正肉、砂肝、つくね、かな。これで440円はすげぇ……。1本1本がかなり大ぶりで、正規の880円でもじゅうぶんお得感がある。そもそも初めての店なので、「旧串」すらも食べたことのない僕が、「新串」のお試し価格の恩恵にあずかってしまっていいのだろうか？　帰り道にバチでも当たらないか心配になってきたぞ。

　肝心の味も、焼き加減、塩加減ばっちりでめちゃくちゃうまい。1本だけタレにしてもらったつくねもホッピーによく合うな〜。

　なんてにやにや飲んでいると、店主さんらしき方が僕の前にことりと小皿を置く。

「今仕込みが終わったお通しなんですけど、よかったら味見してみてください。サービスですから」

　あぁ、もう、大好き。この店……。

　春雨を使ったお通しというと、あまり嬉しくないものの代表格みたいな、酒場あるある的なところがあるけど、作りたてのぷりっぷりで、よくある酸っぱいあえもの的な感じではなく、醤油ベースの優しい味つけも抜群。お通しをきちんと作る店に悪い店なしだ。

　またこんど、じっくりと飲みに来ようっと。

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