大人のハッピーセット vol.14 〜新規開店の店の初めての客になりたい〜

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上石神井「酒場 えんじゅ」の「鶏と九条葱のスパイスそば」と「ホッピーセット」 / 今週の「大人のハッピーセット」

　酒場取材の仕事を終え、夜の8時くらいに西武新宿線の上石神井駅にたどり着いた。そこからはバスか、最悪、酔い覚ましがてらのんびり歩いてでも家に帰れる。ただ、今日の取材はクラフトビールをたらふく飲むことがメインで、まだまだ腹が減っている。どこか1軒寄って帰ろう。このあたりには好きな店がいくつかあるけれど、せっかくだから入ったことのない店に行ってみたいな。

　と、駅周辺をふらふら歩いていると、好きな店のひとつ、「もつ焼 なすの」の2階に、「酒場 えんじゅ」という新しい店ができているのを見つけた。ここ、確か以前は「東」という店だったよな。あれは2年くらい前のことだったか、今日みたいにふらりと入ったら、オリジナルレシピだという「フライドチキン」が妙にうまく、お会計時に「美味しかったです。また来ます！」と伝えたら、「うち、来週閉店するんですよ」と言われた。それからそのフライドチキンを食べるため、2度ほど行ったんだったかな。最後に挨拶した際、店主さんが「次は自分の知り合いがここで店をやることになってるんで、よかったら来てやってください」と言っていた気がするけど、ここがそうか〜。

　店内の様子は、驚くほどになにも変わっていなかった。カウンターのみの店で、ものすごく大きな窓からすぐ目の前を通る西武新宿線がよく見える。この開放感がいいんだよな。ホッピーセットが450円で、ナカは200円。うんうん、ありがたい価格帯。

　お通しはおでん風の煮物だった。店はかなり若く見える男性店主がひとりで切り盛りしているようだが、おふくろの味って感じでほっこりと美味しい。

　目の前の日替わりメニューの酒飲み心をくすぐるラインナップに「お、この店、ちょっとただものじゃないぞ」感が表れている。ちょうど腹も減っていることだし、こういうときじゃないとなかなか食べられないごはんもの、かつめちゃくちゃ気になる「鶏と九条葱のスパイスそば」、いっちゃうか。それとレギュラーメニューから、「青唐辛子のナンプラー漬け」もお願いします。

　青唐辛子、メニュー名のとおりな一品だけど、なんと100円。ぴりりと辛いこいつをちびちびとかじりつつ、もしくは、お通しのちくわなどにひとかけずつのせつつ、どうしたってホッピーがすすんでしまう。

　やがてそばもやってきた。日本そばの上に、スパイス焼きにしたという鶏と九条ねぎがたっぷりで、ものすごく豪華だ。

　つゆをすするとシンプルな和風のそれなんだけど、食べごたえのある鶏には複雑でエスニックなスパイスの香り。それらが食べすすめるごとに融合し、九条ねぎのしゃきしゃき感も心地よく、不思議な未体験のおいしさだ。和そばにスパイス、考えたこともなかったけど、合うんだな。

　家から通える範囲にまた好きな店ができた。こんどはもう少しゆっくり、あれこれ飲み食いしてみようっと。

新規開店の店の初めての客になりたい！ / 今週のコラム

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